宇宙船朱雀のクルー達と主要な制作クルー達。僅かこれだけの人員でSF映画の制作に取り組んだ。
■制作準備
「泣き虫たちの宇宙」の準備作業が始まったのは2016年末のことだったと記憶しています。
まだ当時は、STONE ENTERTAINMENT制作の前作「夢で逢えたら」を自主公開したばかりで
頭も心も衰弱しきっていたのですが、ちょうどその頃NASAが打ち上げた探査機ドーンから
探査対象である準惑星準惑星ケレスからの写真が次々と送られてきていました。準惑星とは惑星のサイズには
至らない小さな天体で、今では冥王星も惑星というカテゴリーから外されて、この準惑星のカテゴリに
入れられています。以前から小惑星に興味はあったのですが、鮮明なケレスの写真を見て、小惑星資源を探る
人々の物語を思いついたのです。準備期間は2年その間に描いたコンテは300ページを超えました。
■セットデザインと制作・小道具と衣装
思いついたからと言って映画が出来上がるほど簡単なものではありません。地球側の
お話は、これまで通り撮影すれば済みますが(それでもロケ地では多くの方々のご協力を
いただき、実現することができました)、宇宙船内や船外活動で着る宇宙服、さらに小道具類を
一から作り出さなければなりません。
台本・絵コンテを書き終えて少なくとも6種類のセットを作らなければならないことが
わかっていました。もともとこういったハードSFを作ることは夢ではあったのですが
なかなか踏み出せずにいました。でもSTONEも結成から25年。自分自身も、参加いただく
スタッフの皆さんも高齢化が進み、もうこんな大それたことはできないだろうと制作に
踏み切ったのです。いつもお世話になっている服部道和氏にセット制作をお願いしましたが
道さんの、「やれるよ」の一言で製作がスタートしたといっても過言ではありません。
また宇宙服は、道さんと衣装のいしぐろひろこさんの共同制作。監督である私、小森も
セットのディテールアップを手伝い、素晴らしいセットや衣装、小道具がそろいました。
■凡そ1年に及ぶ撮影
撮影は2019年の4月7日にスタート。
今回は4Kの高精細フォーマットで撮影し、DCI2Kにダウンサイズして
CGなどの合成を行うこととなりました。主な撮影は劇団pH-7アトリエを
撮影スタジオとしてお借りし、セットを組み、ばらしてまた別のセットを
組んで撮影という気の遠くなるような工程です。
服部道和氏は、この1年間宇宙船のセット製作に掛かり切りになってしまいました。
また、船外活動シーンは、キャストとCGを合成するため、グリーンバック
を使用しての撮影も、同じpH-7アトリエで行っています。
こうして、2020年3月8日にクランクアップを迎えました。COVID-19の
急速な感染拡大が始まる正に直前のことでした。
監督・脚本・デザイン・CG:小森やすのり
脚本協力:川瀬浩二
撮影:山際伸也
セット制作:服部道和
衣装製作:いしぐろひろこ
アクション指導:いちじくじゅん
ドローンパイロット:水野麻衣
製作マネジメント:小出真由美
宣材写真:久保尚子
CG合成・特殊効果:Studio EO
BlackMagic URSA mini 4K
撮影協力
劇団pH-7・pHクラブ・株式会社シネマレイ・アクテノン・テアトルアカデミー
菱田一雄・山下咲衣子・笠原礼子